思い出になる前に







いつもよりホームルームが早く終わって

「久美どっか寄る?」

かばんに教科書を詰め込みながら茜は言った。

「いや、まっすぐ帰る」

「そか。また明日〜」

茜はニコッと笑って手を振った。





教室から出て人を避けながら階段を下りようとした時

「あ!1年生!」

立ち止まって見ると
上から見覚えのある男子がおりてきて私を指差した。



今日舟木先輩を呼んでた人だ……。

その先輩は私のとこまで来て立ち止まった。