思い出になる前に






「え!舟木先輩に話し掛けられたあ!?」

「ちょっ…」



教室に茜の声が響く。

「声大きいからね」

「いやいやいや!舟木俊也?」

「だからそう言ってんじゃん」

茜はゴクリと唾を飲み込み
あたしをマジマジと見た。





「まあ、久美可愛いってみんな噂してるしね。実際可愛いし」

「な、なによ」

「舟木先輩って女子に大人気!けど彼女はずーっといなくて……」

彼女いないんだ。

茜はニヤッと笑って

「ホモなんじゃないかってね噂もあったりなかったり」

耳元でそう囁いた。