思い出になる前に






「えーそんなこと言われたことないよー?指切りげんまーん……」



いや、十分可愛いです。



「家どこらへん?」

「東町の……」

「へー本当遠いねー」

先輩はメットを被ってバイクにまたがる。

可愛い先輩がかっこよく見えた。

「乗っていいよ?」

「あ、はい」



乗ったことないから緊張するなー

「えっと…どこ掴めば?」

「久美ちゃん可愛いなあ」

そう笑って先輩はぐいっとあたしの両腕を引っ張った。

「ちゃんと掴んでて?」

腰に手を回して
あたしの手をポンッと叩いた。

「じゃあ、しゅっぱーつ」