思い出になる前に






学校の近くの路地を少し歩いて先輩は立ち止まった。

「これ」

先輩はバイクを指差した。

「え、先輩の?」

「そーだよー」

先輩は笑ってメットを差し出した。

「これつけて」

「は、はい……」



あたしいいのかな…
今日話したばっかの人の後ろに乗っちゃって…

「けど、うちの学校バイクは…」

「だから黙っといて?秘密ね秘密」

ニコッと笑って小指を立てる。

「ん?」

「ほら、指切り」

「あ、ああ〜!」

指切りとか子供!

「先輩ってやっぱ変わってますね」

笑いながらあたしも小指をだした。