「さっき、聞こえなかった」 「きっ、聞こえたよ! も、もう一回なんて……ムリだよぉ〜」 オレの胸の中で小さくため息が聞こえる。 「ヤダ。もう一回、聞かせて。信じられないんだ」 「……もう一回って……恥ずかしいじゃん……」 オレの下で初音がそうつぶやくと、両手でオレの胸を押しのけた。 白いカッターシャツに秋のさわやかな風が当たる。