こいつはいつもそう。 自分のお願い事はこうやって、甘ったるい声を出して、お願いしてくる。 上目遣いでオレを見て、首を横に振らせない言い方だ。 小動物のようにクリクリっとした目を輝かせる。 「あのなぁ……何でオレが行かなきゃならないわけ?」 「いいじゃない。付き合ってたわけだし…… ね、ちょっと紹介するだけだから!」 一葉がオレの腕をつかんだ。 「やめろって!」 オレが一葉の手を振りほどくと、一葉の顔色が変わった。 これが一葉の悪い癖。