「ねぇ、お母さま。あの方は誰?」 「あっ…気にしなくていいのよ。」 そこにはガラの悪い男の人がいた。 「ねぇねぇ誰なの?」 「静かにしなさいっ!」 普段は温厚な母がキレた。 しかしその声は周囲の人達には聞こえていたみたいで、ばっちり例の男にも聞こえていた。 男はこちらを見て、歩み寄ってきた。 「ほらっ! ゆいが静かにしないから…!」 と、いいながら母の唇は小刻みに震えていた。