If not...




前に願いを叶えた人間もそうだった。


ある男の子が、自分の願いを捨てて、ある女の子の為の願いを選んだ。

そして、その女の子は自分の願いを捨てて、その男の子の為の願いを選んだ。

2人共、誰かの為にとその願いを選んだのだった。






それは、ホープが初めて知る気持ちだった。



“思いやる”



好き勝手に過ごしてきたホープ。

相手を思いやったことなど勿論なかった。

そんなこと思いもしなかった。




でも、分かった。



人は支え合いながら生きているのだ。


誰かが誰かを思いやる。

その誰かが、また違う誰かを思いやる。

もしくは、互いに相手を思いやる。


違う誰かが、そのまた違う誰かを思いやって…



そうして、思いやりの連鎖が出来るのだ。

皆が皆に優しく出来る、温かい絆が。



現に、ホープも子供に優しくしたい気持ちになっていた。

子供の為に何かしたいと思っていた。