その時…
涼太の背後から母の声がした。
「涼太、お前一体何をしているんだ?
テレビを真横から見たんじゃ、何も見えないだろ?」
「えっ…」
涼太はまるで、アイドルのパンチラを必死で見ようとするかの様に、テレビを斜めから見て顔を覗き込もうとしていたのだ。
「何か、見えそうな気がしたんだけどな…」
仕方ないので、そのまま正面からシャコの後ろ頭を眺めながら、話を聞いていた。
思った通りの澄んだ声…
この声で
「涼太君、大好き」
とか言われると…
俺はきっと冬の日本海を津軽海峡まで、黒潮に乗ってマグロと一緒に泳いで行ってしまうぞ!!
いや…
越前クラゲに乗って、海の王者になるかも知れない!!
「エル・オー・ブイ・イー・シャコー!!」
.



