涼太は小さくなるシャコの後ろ姿を見送りながら、テレビで見た映像を思い出していた。
考えてみれば、リアルの自分も小説家としての自分も、シャコとの距離は変わりはしない…
涼太は立ち上がると、精一杯止めていた涙をもう止める事ができず…
真っ暗な見知らぬ道を、空を見ながら歩いた。
「上を向いて歩こう…か。
何も変わっていない…
何も変わってなんかいない。
シャコとの距離も、シャコへの想いも。
シャコさえ笑顔でいてくれるなら、その笑顔を作れる人間が俺だろうと他人だろうと…
今はどっちだって構わない」
涼太はタクシーを拾うと、新大阪駅へと向かった。
当然ホテルに予約などあるはずもなく、温かい缶コーヒーを握り締め、駅のシャッター前で始発を待った…
.



