頭が真っ白になり、叔父さんの慰めさえ俺には聞こえなかった。


俺は、受話器を持ったまま立ちすくんだ。
あまりにも突然で、涙もでなかった。

その後、俺は親父の顔を見ることはできなかった。というか…
見せてくれなかった。
お袋は、親父がどこでどうやって死んだのかなどは、全く教えくれなかった。
─そして3年経った。
俺は大学生になった。

親父のことは、もう悲しまない。
時々、お袋が泣いている姿を見ていたからだ。

仏壇の前で肩を震わせながら泣いている小さな背中を見てきた俺は、お袋がこれ以上悲しい思いをしないようにと、毎日毎日明るく振る舞っていた。