「えー。そんな事ないよ」



私はそう言って、わざと頬を膨らませてみせる。



そうなのだ。



学校での私は家での私とは違うんだ。



きっと日南は家での私なんて、想像出来ないだろうな。



「琴弥は元気だけが自慢でしょ〜」



「なんだよ。それー」




家では1人。



心まで静かな部屋に同化して冷えていく。



それは別に慣れた事で、だからって何も思わなくて、何も望まない。



でも学校は違う。



騒がしい教室。



友達。先生。



その中で明るく笑い、存在する私。



いつも心の中でスイッチを入れるかのように、私は学校での私を演じているんだ。