「ここまででいいよ。ありがとう!智也君、勉強頑張ってね。智也君の顔見たら、あたしも元気出たぁ~♪」



ちょっとだけテンション上げて明るい声を出す私。



智也君を余計なことで困らせたくないから……。



でも無意識に智也君から離れたくない自分の右手に、私の視線がいく……。



智也君はそれに気づいたのか、さっきよりもぎゅっと力強く私の手を握ってくれた。



そして……ゆっくりした口調で、



「琴…弥は…平気…なの?」



「え………?」



寂しげに智也君が囁くように小さな声で言った。



「なんでそんなに余裕なんだよ!!そんな風にさ…離れても平気な顔するの…?俺にはそんな余裕がないよ。会ったらもっと一緒にいたくなる…こんなにっ…なんか…そう思うのは俺だけ??俺ばっかり琴弥で頭ん中いっぱいで…カッコ悪りぃ…よ…俺…って」



智也君はそう言うと、空いている手で私をぐっと引き寄せた…。



「と、智…也…く…」



あまりに突然で固まっていく体…。



「何も言わなくていいから…少しだけこうさせて…」







智也君の吐息が………



鼓動が…私と重なっていく…。



智也君の腕の中でゆっくりと私の力が抜けていく……。



智也君の腕の中……。ここは私の大好きな人の腕の中。