でもその一瞬の不安は、次の瞬間にすぐに消えていった。



「ありがとう!」



絆創膏を貼った左手を、少し上に挙げて左右に振りながら笑顔を私に向けた。




予想もしなかった笑顔。



それも今まで私が知っている限り、こんな笑顔見た事ないような…そんな笑顔。



男の子でもこんな笑顔できるんだなぁ…なんて思った。



「それじゃあ」



「あ、はい…」



名前を聞く訳でもなく、次にまた会える事はない…そんな男の子との最後の会話は、なんだかあっけなくて・・・・・



その男の子はさっと自転車に乗って行ってしまった。



学校までの道…。



それからどう走ったのかはよく覚えていなかった。



ただ・・・・・



その日1日鮮明に私の心の中にあったのは、あの笑顔と最後に交わした言葉だった。









なんなんだろう…?。



どうしたのかな?私。





まだ少し痛む足首より…心の中がズキズキしてるよ。