「俺は舞華の事、本当の妹のように思ってたし、母さんにも感謝してる。親父は仕事で出張ばっかで、俺は俺なりに母さんと舞華を…2人を守ろうと思ってた。でも…舞華の事を支えることは…出来なかった」



寂しそうな智也君はぐっと自分の拳を握り締めている。



力が入るその手は小さく震えていて……



そして私を見て頼りなく笑った。



「最低だよ…俺は舞華を全然分かっていなかった。あいつをあんな風にしちゃたのは俺…なんだよっ。あんな風に悩ませて、何もしてあげられなかった」



「智也君っ…?」



「あいつをあんな…風に追い詰めたのは俺だ。俺なんだ…俺なんだよ」



私なんかよりずっと深い所にある智也君の悲しみや苦しみが見えた瞬間だった。



私に見せてくれたんだね・・・・・。



でも、もう大丈夫。



あなたには私がいるよ。1人で苦しまなくていいんだよ。



大丈夫・・・・・智也君が見せてくれた思い・・・・・私も一緒に乗り越えたいよ。



そして、そう強く思った私は今にも泣いてしまいそうな智也君を……



ぎゅって抱きしめていた。