「あ…そこは妹の部屋…」



智也君が私の視線の先に目を向ける。



「………」



そして、私の反応を見る事なく、自分の部屋へと入る。



「どうぞ、入って。琴弥、何飲む?ってかミルクティーだよな?待ってて!今持って来るから」



つないでた手が離れていくことに寂しさを感じる私。



「え?あ、うん。ありがとう」



でも、知ってるんだ。



私の好きな飲み物…そうだよね。あのコンビニでレジに立つ智也君に差し出したのもミルクティーだったもんね。



覚えててくれてるんだ。



なんだか嬉しくなる私。



智也君は、私にこういうひとつ、ひとつの嬉しさをくれるんだ。



智也君の言葉、しぐさ、色んな事が私にとっては大事で…1つだって忘れたくないって思う。



そう思う今の自分を少しだけいいなって思う。



だからどんな事でも分かっていたい。



辛い思いも受け止めたいって、



心の底からそう思うよ。



そう思って、今日ここに来たのだから…。