緊張気味の私の手を取り、ドアを開ける智也君。



手をつないだまま家の中へ入っていった。



「いらっしゃい。はじめまして。智也の母です」



すぐそばの部屋から顔を出した人…わっ…似てる…。



智也君のお母さん。



少しだけ微笑んだように見えたけど、どことなく影のある表情の人。



細くて綺麗なお母さん。目元が智也君にそっくり!その視線の先には私…。



「…っつたく、いちいち出てこなくていいから」



こっちを見てるお母さんに向かって、



照れたような口調で言う智也君がなんだか可愛い。



「は、はじめまして。渡辺琴弥です。おじゃまします!」



私は軽く会釈をして、智也君に手を引っ張られるような感じで2階へと上がった。



2階には智也君の部屋と隣りにもうひとつ部屋があった。



何気なく見ると、



扉に掛かる可愛いパステルカラーのプレートが目に入る。



プレートには《まいか》の文字。



まいかちゃん……。



その部屋は……



智也君の妹の部屋。