あの日……。


偶然会ったあの日。


智也君から突然もらった絆創膏。


小さなピンクのケースが可愛くて


今では私の宝物なんだ。


嬉しかったのは、可愛いからだけじゃないね。


智也君にもらったからだよね。


もらったそのピンクのケースの中には、絆創膏と…そして、


携帯の番号とメアドが書かれた紙が入っていた。





「もしもし、智也君?」


「ん…。…琴弥?…」


今ではすっかり覚えて、かけ慣れた番号を、今夜もこうしてかけている私。


「あ、ごめん…ひょっとして寝てた?それとも勉強してた?」


「あーうん。でもいいよ。琴弥の声聞けるほうが嬉しいから」





家の中で静かに過ごす、1人の夜は寂しい。


前はそんなことは当たり前だったから気にもしなかった。


でも…今は…今の私は……


1人じゃないって思え始めているから…。


家で過ごす、こんな静かな空間と時間の中で、


智也君の存在を感じて、


智也君の声を聞いていたかった。