あいつは周りの女の子達の輪から抜け出した。



「ちょ…ゴメン…」



小さく呟いて、そしてまた視線を私に向けた。



女の子達からは冷たい視線を受ける私。



そっと私の座る椅子に近寄ると、私の背中をポンっと手のひらをあてた。



「何?」



素っ気ない口調で反応してあいつを見た。



「俺が走ったの見てた?」



ミテタヨ…



「別に…あんまり見てなかったけど」



ウソ…ズット…ミテタヨ



「そっかぁ…少しでも応援してくれてたかなって思ってたんだけどね…」



オウエンシテタカラ…ソンナカオシナイデ…



「あんたの走りには興味ないって」



カナシソウナメハヤメテ…ヨ



「そうだな…」



背を向けないで。



本当は向き合いたいの。



でも私には出来ないんだ。あんたも知ってるでしょ…。



だけど思ってしまう…背を向けないでほしいって…。