一瞬にしてあいつの姿が目に入った。



先頭の集団の中にいる海道貴人。



「・・・・・」



その走る姿に私は固まったように、動けなくなった。



あいつの……



その表情も、走るフォームの美しさも、



早さも…あいつの動き、すべてを…




私はそのままずっとあいつを見ていた。



見ていたというより、



見とれてた…のかもしれないその時間。



あいつに引き込まれていく……この感覚……。










まただ……。



私の心の中で何かがまたざわざわし始めていた。



この時初めて…嫌な予感がした。



この気持ち。



私の中で何かが始まる…気がして、苦しくなった。