私の反応なんて全然気にしない様子で、自転車を押しながら先に歩いていく海道貴人。



立ち止ったままの私に笑顔で手招きしてる。



なんかすごく勝手だよ……。



私の反応なんて関係ないわけ??



私はなんで今あいつと2人でいるの?なんて思っているのに……。



それにあいつの用事って……。



なんとなくあんまり聞きたくないし。



でも…自転車が…。私の『自転車』、返してよ。



「あたしの自転車、返してって」



結局どんどん先へ進んでしまうあいつを追いかけるしかなかった私。



私は海道貴人の後を、小走りで駆けて行きながら、途中で何度か振り返って日南に手を振った。



小さく手を振り返した日南がどんな顔してるのかは、はっきりとは分からなかった。



なんで私……あいつを追いかけてるわけ??



なんだか変な展開になってる感じ。



「ちょっと…待って、止まってよ…海道…貴人ぉ…」



普段通ることのないこの道。



こんな道通ったことなんてないんだから…。



ホントにどこまで行くんだってば……。







「待ってったら…」」







薄暗くなった空の下、私はあいつの背中を追いかけてた。