朝になった。
シャルアムを起こしに行かなくては…


アランは着替えていた。
その時ドアからノックが聞こえた。

「はい」

アランは返事をするとドアを開いた。

「あははおはようアラン君」

ベネチアさんだ。

「どうしたんですか、こんな朝早くに…」

ベネチアさんは言いにくそうな顔を一瞬見せるとアランに笑いかけた。

「奥様が奥様の部屋に来るようにと伝言が…」

そう言うとアランに折り畳んだ小さな紙を渡した。
そしてこっそりアランに言った。

「部屋で見なさい。私達は行動を見張られているから…」

ベネチアさんの顔は真剣だった。

「どうしたんで…」

アランは言い掛けるとすぐに

「アラン君は知らなくていい事なんだよ」

と言った。

「人生には知らなくて良いこともいっぱいあるからね…」

ベネチアさんはそぅ言うとバイバイと手を振って出ていった。

アランはベネチアさんの言葉をふり返った。

知らない方が良い−−−…

最近こればっかりだ…


アランは着替えを済ませると紙を開いた。