恋人以上、恋人未満。




結局ピンクのワンピースを着てでっかい車にのったあたし。
さっきから隣でお母さんがいろいろ話してる。



そのワンピースは私がデザインしたとか
今日は世界中の大手企業が集まるとか
お母様って呼びなさいとか...。
全部右から左だけど。




ついたのはでっかいでっかいお城。
表札には『高城』と書いてある。
どっかで聞いたことあるかも...
~近藤渉・桃花 結婚披露宴~
桃花...高城桃花!?
って桃花さん!?






「理沙さん!?」
「ぇ??...隼人さん」
「こんなところで会えるなんて光栄です。さぁ。中へ」
「隼人さん、理沙をお願いいたしますね」
「はい、では後ほど」
お母様に頭を下げてあたしの手を引く隼人さん。
「あの...今日って...」
「桃花の結婚式だよ」
「はぁ...そうなんですか」







「理沙さんきれいだから桃花より目立っちゃうかもね」
「そんなっ!桃花さんのほうが断然おきれいですよ」
「ほんとに理沙さんはかわいいですね」
一気に熱くなるあたしのほほ。
「あのっ...」
「隼人君!」
「おじ様...ご無沙汰しております」
深々と頭を下げる隼人さんにつられてあたしも頭を下げる。






「こんなかわいいお嬢様をつれて...すっかり大人の男だね」
「いえ、そんな」
「お嬢様、お名前は?」
「中西理沙と申します。父がいつもお世話になっております」
「おぉ!君は中西さんの娘さんかね。かわいいねぇ。うちの息子も紹介しよう...翔太ちょっと来なさい」







小さなマイクに向かって言うおじさん。
何これ、無線??
やっぱお金持ちってすごい...。
「お呼びでしょうか、お父様」
「うむ。こちら中西様のお嬢様の理沙様だ。ご挨拶を」
「はい。あちらで川田様がお探しになられてますよ」
「そうか。ではこの二人を桃花のところへ案内してさしあげなさい」
そういい残しておじさんがどこかへいってしまった。