チャイムが鳴って担任が出て行った。
「王子!このあとお茶でもいかがですか?」
あ...プリンセス...だっけ?
「そうだなぁ...今日は〇〇カフェにします?」
王子はあの爽やかな笑顔を向けてる。
なるほど...これはうわべの性格なんだ...。
「いいですね♪桃花ケーキ食べたいです!」
「じゃいこっか。あ、さよなら」
優しく笑って教室を出ていく王子。
誰にでも優しいんだ...。
住む世界がちがう人にも...優しいんだ。
「理紗!かえろ♪」
「うん!!」
「王子、すごい人気だね」
「確かに近くで見たらすごいかっこよかった」
「いや、遠くで見てもかっこいいよ」
奈々はあーいうのがタイプだっけ?
「ま、あたしは順平一筋だけど!」
「だよねぇ。今日もデート?」
「うん♪じゃ、ここで」
奈々には付き合って3年の彼氏がいる。
高校離れたけど、らぶらぶみたいだ。
「あ、中西理紗です」
「理紗...理紗...あ、はい♪」
優しそうなおばさんから鍵を受け取る。
1004...。
一番上ですか...??
そう、篠山高校は全寮制なのだ。
あたしは知らなかったのだ。
家から近いのに...寮生活を送るんです。

