恋人以上、恋人未満。



「どうしたの?」
「加藤が行くっていったけど、譲ってもらった」
「どういう意味?」
「お前が一人で泣いてるのはいやだ」
あたしの目をまっすぐに見て言う翔太。






そんな顔されたら何もいえないよ。
ずるいよ翔太...
「なんかあったのか?」
「何もないよ。ちょっとしんどくて...」
「だったら何か連絡しろよ」






俯くあたしに何もいえなくなったのか、翔太はため息をついた。
「理沙?俺らほんとに付き合ってたわけじゃないんだし、恋人ごっこする前から電話してたし部屋きてたじゃん?」
「ん...」





ほんとに付き合ってたわけじゃないんだし...
翔太の言葉が胸につき刺さった。
あたしはほんとに好きだったの...




いまも翔太が大好き...
二人きりの空間にどきどきしてる。





「俺は理沙を誰よりも近くで支えたい」
「翔太...」
あたしの目から涙がこぼれた。