「えー今日から1年間みんなよろしくなア。」
まぁ若いといえば若いしおっさんといえばおっさんの担任。
隣にはかっこいいと言えばかっこいいし、ダサイといえばダサイチャラ男。
前には暗そうな女の子。
後ろはいない...入学式から休み?
いや遅刻かもしれないな...。
斜め後ろでは何か占い的な本を必死に読んでいる怖そうな女の子。
「はぁ...」
あたしはため息をついた。
話せる人がいない...。
唯一はなしがあいそうなチャラ男は携帯をいじってる。
仕方なくあたしも携帯を取り出した。
待ち受けはあたしの愛猫『ミルク』。
ストラップがじゃらじゃらついてる携帯は正直重たい。
電池パックのふたには何枚もプリクラが張ってある。
真面目に先生の話を聞いてる人は一体何人いるのだろう?
まず、聞いてるひとっているのかな?
前からどんどん回ってくる重たい教科書。
おき勉決定。
「おき勉するなよー」
きかなかったことにしよう。
ガラ...っ
「遅れました」
「「「王子!!!!」」」
真っ先に反応したのはたぶんクラスの番長になるであろう女の子。
あたしには苦手すぎるタイプだ。
「あ、そこの...可愛い...中西の後ろ座って」
「はい...」
地味にキモいこと言ったおっさんは無視することにしよう。
「王子!一年間よろしくお願いします」
「あ、プリンセスさんじゃん。おはよ」
回りからフゥーと冷やかしの声が上がる。
確かにそのこと王子野郎はお似合い。
しかし...プリンセスやら王子やら...
この学校は何なんだ?

