「桃花。SHRの前、寮の話をしてて教室に帰る途中理紗が階段から落ちたって言え。二人とも携帯は教室で連絡できなかった。それで通せ」
「でも!」
「お前ならわかるだろ」
「っ...」
加藤は文句を言いたそうな顔をしたけど俺の態度を察して何も言わなかった。
「俺と加藤と理紗の荷物、おれの部屋に持ってこい。俺が病院連れてくって先生に言っとけよ」
「わかった」
桃花ははしって行った。
「行くぞ」
連れてきたのは俺の部屋。
とりあえずベッドに理紗を寝かせ、救急箱を出した。
「あたしやる」
器用に理紗の手当をしていく加藤。
俺はあったかい紅茶を加藤に淹れた。
たぶん今誰よりも不安で誰よりも心配して、誰よりも自分を責めてる。
「理紗...ごめんね。あたし何で行かせちゃったんだろう?理紗痛いよね。理紗ごめんね」
呪文のように繰り返す加藤。
「加藤、飲むか?落ち着くぞ」
「病院は?」
「今医者よんだ」
しばらくして桃花が荷物を持ってきた。
加藤はずっと泣いてた。
“何で理紗なの”ずっと...泣いてた。
俺が傷つけたのは理紗だけじゃなかった。
理紗を想う人のことも傷つけたんだ。
理紗、ごめんな?

