恋人以上、恋人未満。



『_____っ!!なん__...!!』
かすかに聞こえる叫び声。
この声...桃花?!
「理紗!?どこだよ!理紗!」
返事はない...。




『桃花の方が翔太をわかってる!桃花の方が翔太を幸せにできる!桃花の方がきれいだし、翔太に釣り合うの!』
「くそっ!どこだよ...っ」
俺は自分の髪をクシャっと握る。





屋上、非常階段...理紗はいない。
ドンっ!!
「きゃっ!」
廊下の角で女にぶつかった。
「ごめん。大丈夫?...って加藤」
「へ?あ。王子。何してんの?」
「理紗探してる!」
「あたしも!」





どこにもいない!と加藤は泣きそうになってる。
『キュッ...キュッ...ガコン!』
「バスケ...??」
「え?」
耳にあてた携帯から聞こえた音。
体育館の床とシューズがこすれる音。
ボールがゴールにあたった音。
「体育館だ!」





俺は走り出した。
加藤も急いでついてくる。
加藤のために少しスピードを落とした。
「先いって!」
「わかった」
体育館に飛び込む。
幸いバスケに夢中で誰も気づかない。
倉庫?舞台裏?
いない...いない...




加藤も体育館に到着した。
「王子!こっち!」