「理紗さん。ちょっといい?」
「あ、はぃ...」
桃花さんから突然の呼び出し。
何か...怖いんですけど。
「理紗?どこ行くの?」
奈々が助け舟を出してくれた。




「少しお話があって...理紗さんお借りします」
桃花さんの威圧的な笑顔に誰も何も言えない。
「奈々、大丈夫だから」
あたしは笑顔で言うしかなかった。





連れてこられたのは体育館裏。
わぉ...定番。
ってか大富豪のお嬢様でもこんなことするんだ。
もっと寛大で、おしとやかなのかと思ってた。
「何か?」
「翔太とつきあってるのよね?」
「はい。」





たぶん恋人ごっこのこと、桃花さんにだけはばれちゃダメだと思う。
「単刀直入に言うわね。」
桃花さんは余裕の笑みを崩さない。
こういうところがこの人のこわいところ。
裏では何でもできるこの人は敵に回さない方がいい。





そんなことはわかってた。
でもここで恋人ごっこをやめるなんて無理。
翔太にまたあんな思いをさせるのはいやだ。






桃花さんの言いたいことはわかってた。














「翔太と別れてほしいの。」