「理紗?遅刻するよ?」
「んー起きた」
適当に返事をしてベッドから起き上がる。
中西理紗(ナカニシリサ)。
今日から篠山高校の1年。





新しい制服を身にまとったあたし。
胸の下まで伸びた髪は昨日明るめの茶色に染めた。
チェックのスカートを何度も折り曲げて膝上にした。
ストレートの髪をコテで丁寧に巻いていく。
春休み中、必至で練習したメイク。





中2まで結構でっぷりしていたあたし。
ダイエットを始めて、今は割と細い。
身長163、体重43。
可愛いと評判の制服はなんだか自分に合ってない気がする。






「理紗ー?」
「はーい!」
かばんを持って階段を駆け降りる。
「はい、お弁当」
「あ、ありがと!」
「やだ...スカート短すぎない?」
「大丈夫。膝上10センチだから♪」
「化粧、こすぎない?」
「大丈夫なのー♪」
「髪、明るすぎない?」
「平気平気♪」





この通り、あたしの母親は心配症。
そんな母に育てられたあたしは中学生になるまでかなりの真面目ちゃんだった。







「じゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい♪」
あたたかな日差し。
やわらかい春風。






今日から新しいあたしが始まる。