放課後。
二人で校門に向かった。
「あ、王子!理紗!」
奈々は変な顔をしたけど、用事があると言って先に帰ってもらった。
「一緒に来るとか超意外!いい感じジャン♪」
小さな声で麻衣は耳打ちしてきた。
「ありがと...」
恥ずかしそうにうつむいた演技をして、王子とほほ笑みあった。





向かった先は定番のカラオケ。
「あ、親から電話。ごめん抜けるわ...」
「ぁ...もうすぐ塾だ。帰るね?」
みんな適当な理由をつけてかえったふりをしていく。
残ったのは麻衣と麻衣の彼氏。




「理紗。一緒にトイレいこ?」
麻衣はあたしの手を引いて立ちあがり彼氏にウインクした。
人の協力ってこんなにわかりやすいんだ...。
あたしもいままで友達にけっこう協力してきたけど、こんなにわかりやすかったのかな?





「理紗!今からあたし、二人でデートしたいってことで抜けるから...告白しな?」
「えッ...そんなの無理だよぉ!」
だいたいみんなこんなこと言うのよね。
「大丈夫!雰囲気的に王子もまんざらじゃないみたいだし!」
とか勝手なこと言って期待させるんだよね。





「わかった。頑張ってみる」
部屋に帰って麻衣と彼氏が部屋を出て行った。
「シナリオ考えるかー」
今までの態度はどこに行ったのか...
王子から二宮に戻ってる。
まぁあたしはこっちの方が好きだけど。





結局。
なかなか言い出せなかったあたし。
勇気を出して切り出した王子。
あたしは涙を流してよろこんだ。
記念に二人でプリクラをとって帰った。
手はつながなかった。




ということになった。