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「だ、だいじょうぶ…。」


かなり痛そう。
身長的に、小学生だろうか。
近くで見ると、髪色は鮮やかな赤というよりは、血の色に見える。
それもどす黒い色ではなく、甘そうな赤色。
ちょっと美味しそうだなーとじーっと観察していると、少年と目が合った。
そして少年の目が大きく見開く。
ポカンとあいた口から最初に出た言葉は…、





「赤髪さわやか貴公子!」





指を差され、そう言われた。
…何、赤髪さわやか貴公子って……。
酷いネーミングセンスに顔がひきつった。


「君のほうが髪赤いと思うんだけどな。」


そう軽く反論してみた。
すると、


「本当だ、こげ茶色になってる!前は赤かったのに!」


素直に反応されてしまった。
憎まれ口への対応は万全だが、あまりにピュアな答えに何も言えない。
きっと幼さゆえに、マイナスな部分がないのだろう。
恐るべし小学生。


「何、君俺に会ったことあるの?」


「あるよ!てか俺啓(ケイ)。兄ちゃんは?」


「啓ね。俺千明っていうの。」


自己紹介されたので、同じように返した。
少年、啓が、とても嬉しそうなのは何故だろう。



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