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■赤色






視界が塗り返られる、甘い血の色。




帰り道。
俺は、駅へ向かうための巡回バスから降りた。
通学に使うのはバスに電車。
車内でじっとしている時間が長いためか、体が固まってしまって、動かすと軋む。
そこまで遠くないし、明日から自転車にしようかな。


「まだ明るい…。」


今日は午前授業のため、いつもより早い帰宅となる。
部活のあるヒカリに足留めをくらい、今にいたる。
本当だったら、もう家に着いているはずだったのに。


「…ヒカリのあほ。」


無意識に、ヒカリの愚痴を呟いた。


「!」


「うがっ」


後ろから何かがあたったのと同時に、うめき声が聞こえた。
振り向くが、何もない。


「?」


首を傾げてみる。通り過ぎていく群衆しかいない、が。


「いってー」


下から声が聞こえた。
目線を少し、いや、かなり下げるとそこには、


「…大丈夫?」


髪の赤い、小さな少年がいた。
痛そうに額を押さえる少年。
同じ目線になるようにしゃがみ、聞いた。



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