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「でもどうしようかなぁ…これからみんなの視線が痛いだろうし。
まずはお昼を乗り越えなきゃ。」


彼女の言葉にふと思う。


「杏花、お昼一人なの?」


「誰かさんのおかげでね。」


彼女は嫌味たっぷりで言ったつもりだろうが、別に痛くも痒くもなかった。
それより。


「じゃあ今日の昼休み、屋上ね。」


それだけ言って、俺は踵を返す。が、案の定袖を引っ張られて停止。


「ちょっと待て、何急に。ていうか、屋上って立ち入り禁止でしょう?
非常階段からも行けないのに」


彼女がいぶかしげに問い正してくるが、俺は笑顔で返す。


「屋上の鍵は俺が持ってんの。だいぶ前にヒカリが呼び出しくらった時に紛れてパチってきた。」


「ヒカリ?」


「昼に教えてあげる。じゃあね。」


それだけ言って、彼女に手を振り教室へ向かった。








彼女の生活を変えてしまう行為をしてしまった。
そこまでして、欲しかった。



後悔してる。でもやっぱり、幸せのほうが多くて。













君が隣にいてくれるだけで何でもできそうな気がするなんて、傲慢でしかないけれど。




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