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『は?』


「杏花の髪触りたい。」


『やだよ。』


「きっと甘い匂いがするんだよ。うわー美味そう。」


『…千明壊れた?大丈夫?』


そう言われるほど、俺の発言は危ないのだろうか。


「こういうふうに言われるの嫌?慣れてない?」


からかってみる。すると、


『…嫌じゃない。けど慣れてない。どう反応したらいいかわかんないからやめて。』


あ、きっと今ムスってしてるんだろうな。
で、きっとちょっとだけ照れてて顔が赤くなってるんだろうな。
彼女の本当に困っているような様子が、少し嬉しかった。

…なんか会いたくなってきた。


『答えてくれてありがと。じゃあまたね。』


「杏花。」


電話を切ろうとする彼女を呼びとめる。
向こうから、『なぁに』とだけ聞こえた。

ねぇ、お世辞とかじゃないから。







「俺は杏花の髪の、蜂蜜色、好きだよ。」






少したってから聞こえた、彼女からの『ありがと』の言葉が嬉しそうで、でも少し震えているように聞こえたのは、気のせいだろうか。





To be continue...


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