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「いいよなぁ、ああいうの。
髪黄色いけどさ、清純そうなのがそそるよなー」


「あれは俺の。」


夢を語る友達の言葉を遮るように言った。
そして、教室の外へと向かう。


「女一人に絞るならさ、一人ちょーだいよ。
俺今フラレて寂しいんだよねー…って千明、どこ行くんだよ。」


「二階だよ。
ほしいんなら勝手にしなよ。あれは俺のじゃないから。」


俺はそう言い残して、教室の外に消えた。


「独占欲…。ハマりすぎだボケ。」


そんなヒカリの言葉が耳に入るはずもなかった。






気づいたら、行動していた。





二階、二年二組。
廊下を歩くと、やはり二年生が一年生の階を歩くのが珍しいのか、何人かが振り返ってきたが、無視した。


「ねぇ、澤木杏いる?」


横引きの戸の近くにいた女子生徒に尋ねる。
相手が一瞬顔を染めたが、気づいてないふりをした。


「えッ?えっと…さわきさん…。あ、澤木さーん、人呼んでるよー」


女は教室内をキョロキョロと見回して、窓側の席にいる彼女に声をかける。
彼女は蜂蜜色の髪を揺らしながらこちらを向いた。



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