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「ふーん…。」


ヒカリが悩んでいることに驚いた。
来る者拒まずのあいつが悩むということは、それだけ亜也が大事ということだろうか。
親友から恋人への格上げは、なかなか難しいらしい。


「そういえばちぃ、なんで元気ないの?机にふせちゃってさ。"きょうか"ちゃんにフラレた?」


亜也の何気ない言葉に、俺は固まった。
そしてそれに気づいたのか、亜也がまた慌て始める。


「ち、ちぃならすぐ新しい子見つけられるよ。え、えとぉ、……だい…じょぶ?」


せっかく違うこと考えられてたのに、と、心の中で毒づいた。
きっとこいつは悪気があって言ったわけではないだろうし、今も励まそうとしているのだろう。
しどろもどろだけど。


「…ちぃ、ごめんね?」


心配そうに尋ねてくる。
別に、気を使わせたいわけじゃないのに。
少しイラついている俺は、少しキツめに返してしまう。


「別にフラレたわけじゃないし。」


そう、フラレたわけじゃない。
ていうか、告白さえしていないのにフラレてたまるか。

ただ、気にくわないだけ。









「距離おかれただけだよ。」




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