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「ふぅー。」


「落ち着いた?」


コーヒーを口にふくんで安堵のため息をつく彼女に尋ねた。


「うん、もう平気。ありがと。…ここのコーヒーおいしい。」


杏花が嬉しそうに微笑みながらそう言うので、俺もつられて笑う。
すると、杏花がじっと俺を見てくるので、


「何?」


尋ねると、


「千明、飲めないなんて…なんか可哀想…。」


眉を寄せながらそう言われた。


「哀れまなくていいから。カフェオレ大好きだし。」


そう答え、ストローに口をつける。
ふいに壁にかけられたアンティーク調の時計に目をやると、4時を過ぎていた。



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