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「千明、お前澤木ちゃんのとこ行った?」


「行ってないけど」


俺の弱気な言葉が聞こえていなかったらしく、ヒカリは亜也を引き剥がしながら聞いてきた。
普通にそう答えると、


「うわ、痛っ」


亜也を引き剥がし終わるのと同時に、思い切り腹部を蹴られ飛ばされた。
もともと不安定な体勢だったため、簡単に廊下に飛ばされ背中から落ちる。


「なにすんだよ」


「なにすんだよじゃねぇよ。
姫待たす王子がどこにいんだよ。
何もしないで帰ってきたらまた追い出してやる。」


「ちょ…」


俺の反論には耳を貸さず、ヒカリは右手の中指を立て、舌を出しながら戸を閉めてしまった。

なんなんだよ一体。
かなりやめてほしい。
閉まった戸の前で座り込むなんて、かなりマヌケじゃないか。



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