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■ 心が叫ぶのは <font color="#000000"></font>






苦しいのは、呼吸だけだろうか。







「ちぃちゃん、聞いてる?」


横からの呼びかけで我にかえった。
頬を膨らませながらこちらを見ている里佳。


「あー…ごめん。何?」


俺は、あまり悪気なさそうにそう言った。


「もういい。ちぃちゃんのばか」


すねたようにそっぽを向く里佳に、ただため息しかでなかった。


彼女なら―……。


時間があれば考えてしまう、蜂蜜色の彼女のこと。
それを知っているのか、里佳はなんとかして会話しようとするし。


「ちぃちゃん、里佳といても楽しくない?」


「そんなことないよ。楽しくなかったら一緒にいたりしないでしょ。」


目を合わせずに言葉にする。
すると里佳は俺の前へ移動し、歩みを止めさせた。


「何?」


首を傾げ尋ねた。
里佳が俺を真っ直ぐに見てくる。



「じゃあキスして。」



そう言って顔を前に出して目を瞑った。



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