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「……ごめんね、一方的に責めちゃって」


ゆっくり口を開いた彼女。

「いいよ、気にしなくて」


また笑うだけしかできない俺。

あぁ、俺って何も出来ないんだな。
千明のためになることも、澤木ちゃんを慰めることも。


「…でもそれって学校でも言えることよね?
どうしてわざわざ一緒に帰るの?」


少し冷静になった澤木ちゃんが尋ねてきた。


「それって遠回しに一緒に帰りたくないって言ってる?」


「違う。ただ不思議に思っただけ」


きっぱり答える澤木ちゃん。
すっげー清楚なイメージあったけど、なるほど、素はこういうやつか。
俺は歩き始める。彼女も慌てて足を運んだ。
…なんか面白い。


「なんで笑うの」


「ごめんごめん。
さっきも言ったじゃん、千明の命令だって。」


口元を押さえながらそう言うと、澤木ちゃんは不思議そうに首を傾げていた。



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