.




■ 騎士の仕事






きっと俺には真似できないから。









目の前には、二年二組の表札を付けた教室の横引き扉。
担任の「さよなら」が聞こえたと同時に、扉を開けた。


「さーわきちゃん、一緒帰ろ」


言いながら相手を探す。


「…ヒカリくん?」


声のしたほうを向くと、目を大きくした澤木ちゃんがいた。
俺は、肩に鞄を引っ掛けながらにこりと笑った。









「どうしたの?千明と亜也はいいの?」


横からの言葉に俺は首だけでそちらを向いた。


「いいのいいの、千明の命令でいるんだし。」


「千明…の……?」


聞き返してくる澤木ちゃんを見る。
千明は言うなって言ったけど、俺がそんなの守るわけなくて。
それに言わなきゃ勿体無い。


「最近女の子に絡まれてんだろ?」


「!」


驚いた顔。知らないと思ってたんだろうな。
口をパクパクさせて、やがてうつ向いた。


.