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その声に、俺は固まる。
ゆっくり顔を上げ、恵里佳と目が合った。


「千明が一人に夢中になるからよ。
千明はみんなの千明なのに。
今までそうしてきたのに。
…急に一人を好きになったなんて言われて、聞き入れられるはずないでしょ?」


恵里佳の視線が、言葉が突き刺さる。

俺の、せい?
俺が杏花のそばにいるから…?



「……ねぇ、戻ってきてよ千明」



放心している俺に、恵里佳の声が耳に入る。
俺の頬に、掴んでない片方の手が触れた。


「前みたいに戻れば、前みたいにみんなの千明に戻れば、澤木さんへの嫌がらせは消えるでしょ?
…ね、勘違いしないで。
あたしたちは澤木さんをいじめたいんじゃなくて、千明が好きなだけなんだよ」


そう言って、にっこり笑う恵里佳。
ヒカリの言葉と同じぐらい、ヤケに響いた。







杏花が傷つくのは嫌だ。
他の女が傷つくのも、嫌だ。



じゃあ、何を犠牲にする?











……そんなの、簡単だよ。







To be continue...



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