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廊下を一人で歩くのは嫌いだ。


「あ、ちぃちゃん一人だぁー」


こうやって呼び止められるから。

これで何人目だろうか。
甘ったるい声で名前を呼ばれる度に、嫌悪感を感じてしまう。


「ねーぇ、たまにはリカとお話しよ?」


そう言いながら腕に絡みついてくるリカ。
二つ結びがピョンピョン跳ねるのを見て、盛大なため息を吐いた。


「リカちゃん俺ね、今人探してるの。は・な・し・て。」


「やぁだ。最近話してないし、遊んでくれないし、寂しかったんだよ?
だから今日はリカと一緒にいて。」


や、だから無理だって。
かなり自分勝手なことを言うリカに呆れる。


「寂しいなら彼氏に相手してもらって。もうすぐ一年て言ってたじゃん。」


「あいつは別にいいの。ちぃちゃんと遊びたいの。ほら、行こー」


そう言って無理矢理手を引こうとしてきた。




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