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■どうして






早く、俺に捕まって。








「……千明、その顔怖いって。」


ヒカリが苦笑いしながら言ってきた。
俺は机に伏せたまま動かない。


「……杏花に会ってない。」


小さな声で、不満を口にした。


「会ってないって…まだ一週間じゃん。そんなに会いたいなら行ったらいいだろ?」


呆れたように、ヒカリは部活の練習着の入った袋を俺の頭に軽くぶつけた。
実は次の授業は体育だったりする。
しかし、それでも俺は動かない。


「会いに行っても逃げられるんだよ。」


機嫌悪そうに答えた。


「逃げられるって…お前何したんだよ。」


「何もしてない…はず。杏花が嫌がることはしてない。」


「ふーん…じゃあいいじゃん、行ってこいよ。」


「だから―…」


こいつはちゃんと人の話を聞いていたのだろうか。
追いかけると逃げられるのに、さらに追いかけろと言うのか。
反論しようとして口を開いたが、ヒカリの言葉に遮られた。



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