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「二人ともいい子にしてたぁ?」


先生が園児に呼びかける感じで、亜也が元気よく帰ってきた。


「…テンション高いな、お前。」


「ちぃが低すぎなんだよ。なぁに?きぃ奪われたのが気にいらなかったの?」


「うん。」


素直に首を縦に振った。
もう二人にバレてるなら、本音を隠す必要はない。


「女の子同士って花があっていいよなぁ…。……亜也、お前ケガしたの?」


ヒカリは何かに気づいたらしく、自分の席に向かう亜也の腕を掴んで止めた。


「えっ?…ケガなんてしてないよ、なんで?」


亜也が一瞬だけ、頬を赤に染めた。
ヒカリはやはり自分のことには疎いらしい。
亜也の変化には気づかなかったらしく、そのまま亜也に顔を寄せた。


「…消毒と湿布の匂いがする。」


「…保健室?」


ヒカリの言葉から、俺は連想できる場所を言った。


「屋上じゃなかったんだ?」


尋ねると、亜也はバツの悪そうな顔をして、カチコチに固まった不自然な笑みを浮かべながら目を泳がせていた。


「亜也、何隠してんの?」


ヒカリが亜也の顔に更に近づく。
いや、本当は鈍くないかもしれない。疎くないかもしれない。
ヒカリのやつ、絶対わかっててやってる。



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