「そっ…そういえばさ」


心臓のドキドキを誤魔化すように話しかける。



「健斗って留学してたんじゃないの?」




「俺のことが気になる?」

「…ばか。違うよ」



健斗はまた“ふふっ”って笑う。


それから真面目な顔をした。


「ほんとは留学中だったけど、兄貴が亡くなって両親が寂しいと思ってさ」



あ…この真面目な顔…

すごく直斗に似てる……




「つーか、兄貴がいなくなって親を2人きりにしておくの心配で」


健斗はちょっと照れたように頭をかいた。



……こんな軽そうなのに…すごく親想いなんだね。