モノクロ ―黒の中の白、白の中の黒―

通り過ぎる車の音や、周りの雑踏の音や、


目の前で「そっかぁ」なんて安心したように笑う御坂さんの声も、


すべてが遠く聞こえる。


彼は何も喋らなかった。


ただひたすらに黙り込んでいた。


そんな彼の様子が気になったけれど、私は振り向かなかった。


だって、怖いから。


彼の悲しそうな顔や泣きそうに歪んだ顔を想像するだけで、胸が痛い。


心臓が張り裂けそうだ。


もし今彼のそんな姿を見てしまったら 、


すべてが壊れてしまう。