「………。」
「今まで何度、城から出られましたかな?一度?…二度…?否、出たことは、無い。
そんな世間知らずの箱入り姫様に自分達の事をとやかく言われる筋合いは無い!」
低い声、固く結ぶ唇。
「……と、国民達も思っている…かもしれない。」
耐える私を遊ぶようにして彼は私の髪を触った。
刹那、異常な悪寒がして
…私は彼の手を払いのける。
「…無礼者。」
「これは、失敬」
これでもかと言うほど睨んだつもりだが、効果は無い。
それどころかラザレスはさらに嘲笑を浮かべる。
そんな彼に屈すまいと私は口を開いた。
「…確かに…私は城から一度も出たことはありません。」
そして一呼吸。
「ですが、国民あっての王国です。大勢であろうと、一割未満であろうと…死者が居る事に変わりはないはず。その問題が解決するまで、余計な議論は慎みなさい。」
「……つまり、婚礼は拒否、とな。」
不機嫌そうに私を見る彼。
勿論私も、そんな彼を鋭い目付きで睨んだ。
「そして、いち早く治療法を探すべく…開国を要求します。―…以上!」

