だが私の心中を悟ったのか、タリアは言った。
「そんな事は無いはずだよ、フラン。エルバートにとってあんたは幸せそのものだった。
彼は毎日あんたの側にいて、支えになる。…それだけでもう十分だったんだよ。」
ぎゅっと抱きしめる剣。
強く私はその剣を抱きしめた。
「あんたが生きていた事…エルバートにとってこれ以上の喜びは無いだろうよ。だからフラン。絶対に希望を失っちゃいけない。でも生憎、あんたにはエルバート以外にも変な騎士がいるみたいだから…、何かあったらあいつに頼れば良いんだ。」
そしてタリアは私の右隣の席を見つめる。
そこには余程疲れていたのか、カウンターに突っ伏して寝ているハイネがいた。
時折寝言を言うその姿が、少しだけ微笑ましく思える。
「ありがとうタリア…。あなたに会えて本当に良かったわ。」
涙を拭い、私はタリアにそういった。
それに対していいんだよと照れくさそうに彼女は煙管を吸って大きく伸びをする。
「さぁ、今日は疲れただろう。…何か食べるかい?それとも今日はもう休む?」
少し迷ったが、今日は朝から沢山の事があって…正直疲れていた。
ベッドがあったらそのまま寝落ちてしまいそうなくらいに。
…それに、あまりお腹は空いていなかった。
「そうね、今日は休むわ…。お気遣いありがとう。あ、それとタリア、大変申し訳ないのだけど…シャワーを貸してもらえると嬉しいわ。あと何か着る物も…。」
立ち上がりながら私がそう言うと、タリアはこっちにおいでと言って部屋まで案内してくれた。
勿論その時にハイネも叩き起こされたのだけど。
店の奥に階段があって、どうやら二階がタリアの居住スペースとなっているようだ。
キッチンにリビング。廊下を挟んで小さい部屋が二つ。
空き部屋とタリアの部屋。
そしてその奥にトイレと浴槽が一緒になっているバスルームがあった。
外観から見て取れたように、内装も全体的にこじんまりとしているけれど、とても温かみがあって…生活感に溢れている。
「…アンタの部屋より小さいだろ。」

